白河へ移住・転勤した女性の子育てと仕事のリアル~等身大でつながった私の居場所~ | 福島県県南地方移住・定住相談所ラクラスしらかわ

白河へ移住・転勤した女性の子育てと仕事のリアル~等身大でつながった私の居場所~

鷲谷 恭子さん 藤東 恭子さん 鈴木 絢乃さん 荒井 由美さん
先輩移住者

子どものための生活。それは大切なこと。

でも、自分のことも大切にしてほしい。

育児や地方での生活のなかで感じる「このままでいいのかな」という思い。

今回は、令和4年度に白河市が実施した「女性に寄り添うライフ・ワークサポート事業~Ripples~」に参加された3名の方にお話を伺います。

一歩を踏み出すことへの不安、家族も自分も大切にした丁度よい選択。

「このままでいいのかな」という心の揺らぎに、そっと寄り添ってくれるような言葉をお届けできたらと思っています。

 


目次

プロフィール

しらかわの暮らし

地域とのつながり

動き出しのきっかけ

しらかわのコミュニティ

経験からのアドバイス


鷲谷 恭子㈱ケイリーパートナーズ代表取締役/COO。令和4・5年度の白河市「女性に寄り添うライフ・ワークサポート事業」に協力事業者として参画。本年度は代表事業者として運営に携わる。

藤東 恭子:会津若松市出身。結婚を機に福島市へ移住。その後、夫の転勤で白河へ引っ越し、2人のお子さんの妊娠・出産を経験。現在は郡山市在住。

鈴木 絢乃:白河市出身。郡山市と白河市で介護関係や事務職を経験。現在4歳のお子さんを持つ。

荒井 由美:塙町出身。結婚を機に白河市へ移住。デスクワーク・事務職を経験。現在8歳と6歳のお子さんを持つ。


私の今までと白河の暮らし

 

ー ほどよさと安心感 

 

鷲谷 今回は県南地域で子育て経験のある3名に、暮らしの印象や、ご自身が経験してきたご苦労とか、あるいは住みやすさとかを伺っていけたらと思います。まずは、自己紹介をお願いします。
藤東 私は会津地方出身で、結婚を機に福島市に移り住みました。そこから主人の転勤で5年前に白河市に来ました。そのときに長女を妊娠中で、白河市に住み始めてから出産。そのまま2人目の出産もこちらで経験しました。次女が2歳になったときに郡山市へ引っ越しましたが、密度の濃い5年間を県南地域で過ごすことができました。
鷲谷 妊娠・出産の激動の時間を県南地域で過ごされたんですね。
一言でこちらの生活はどうでしたか?
藤東 とても充実していました。
鷲谷 最高にいい答えですね。では、鈴木さんお願いします。
鈴木 私は地元が白河市で、県外の大学を卒業した後に一度郡山市で就職しました。その会社で6年くらい働き、その後実家の白河市に戻り、今に至ります。いつかは白河市に戻ってきたいという考えはずっとありました。
鷲谷 白河市に来てからは?
鈴木 帰ってきてしばらくは仕事をお休みしていたのですが、働いてないと落ち着かなくなってしまって。2年程会社に勤めて、結婚し、期間満了で退職。その後、妊娠・出産し、今に至ります。娘は4歳になりました。
鷲谷 白河の生活はどうですか?
鈴木 昔からずっと住んでいて、故郷ということもあるので、住みやすい街だと感じます。
鷲谷 白河市から出て戻ってきて、育ったときと比べて何か変化はありましたか?
鈴木 若い頃は、地元には何もないなと思っていました、田舎だなと。でも帰ってくると、その田舎なりの良さがあるというというか。落ち着きます。買い物も行きやすいし、自然もあふれているし子育てにはいいかなと。
鷲谷 そう、いろんな白河市で子育て中の女性と話をすると、「程よさ」とか「ちょうどいい」とか「疲れない」とか、なにか「緩さ」というか、「心地よさ」みたいのがあるんですよね。
鈴木さんにとっては、ほどよいという感じ?
鈴木 はい、ほどよい感じです。
鷲谷 では、次は荒井さんお願いいたします。
荒井 出身は県南地域の東白川郡塙町です。私も結婚を機に白河市に住むことになりました。当時、職場が矢祭町にあったので毎日1時間かけて通勤していました。その後、子どもの産休と同時に退職して、今は8歳と6歳の2人の子どもがいます。
鷲谷 結婚を機に白河市で生活をはじめてみて、どうですか?
荒井 塙町からよく買い物に来ていたので、白河市周辺はもともと生活圏ではありました。
とても便利だと思いますね。子どものお店も公園などの遊ぶ場所もたくさんあるし。私は大好きで、ずっと住み続けたいです。
鷲谷 藤東さんは、会津地方や福島市と県内を転々とされてきましたが、白河市との違いはなにか感じますか?
藤東 そうですね。会津は規模感というか、人口もちょっと多い。でも同じ城下町で、歴史を感じる場所や、街並みも似ているところはあります。そして白河市は、先ほど荒井さんもおっしゃったようにアクセスがいいというか、どこへでも行きやすいところが違うかなと感じました。
子育て世代に対しても、会津若松市よりも白河市の方が遊び場や小児科が多い印象があります。子育てするにあたっては環境が充実しているなと感じました。
鷲谷 大変な時期に白河市にいたと思いますけど、そのなかで不便を感じる事はありましたか。
藤東 ほとんどありませんでした。何か助けてほしいときは、実家の母が会津地方と県南地域をつなぐ甲子道路を通って来てくれました。大変な時期もありましたが、困ったということはほとんどありませんでした。
鷲谷 福島市と比べてはどうですか?
藤東 当時は子育てをしていなかったので、遊び場の情報は聞くことはありませんでしたが、福島市は人口も多いですし、面積も広く、行きたい場所も点々としているので、どこへ行くにも車でちょっとした運転が必要でした。白河市は市の真ん中にギュッと施設がまとまっているので、どこにでも遊びに行きやすいですね。福島市の方がいろいろな選択肢がありますが、白河市は子育てがしやすいと感じています。

 

鷲谷 小さなお子さんがいるときって、たくさん選択肢があるってことよりも、必要なものがすぐ届く距離感のほうが優先順位が高かったりしますよね。そこは白河市の魅力ですね。
鈴木さんは藤東さんと同じような印象はありますか?
鈴木 私は、そもそも運転があまり得意ではないんです。(笑)
なので、人口が多くて交通量が多いところだと、子どもを乗せて運転するのはちょっと不安です。白河市はそこまで交通量は多くないし、道路も二車線だし、動きやすさは感じます。
鷲谷 確かに。出かけるときの心のハードルってありますよね。
荒井さんも高速道路は嫌いでしたよね?
荒井 高速使ったことないです。(笑)
鷲谷 本当に!そういう点で白河市は安心?
荒井 安心です!
鷲谷 なるほど。運転のしやすさも暮らしには重要ですよね。
白河市は遊び場や買い物施設などの距離もあまり離れていないから、そんなに運転しないでも行けちゃうみたいなところもありますよね。
藤東 わたしの姉も別のエリアで子育てしているんですが、情報交換した時に、とても白河市は恵まれていると感じました。
鷲谷 荒井さんはなにかそういう経験とかありますか?ご自身として経験しなくても、意外に白河市ってこうだなとか。
荒井 白河市は子育てしやすいと思います。今年、娘が小学1年生になったのですが、入学祝金を頂いて、子育てに手厚いなと思いました。
鷲谷 何かチケットとかではなくて、お金として振り込まれるのは自由度高いですよね。白河市は、ロケーションだったり、街の規模だったり、制度にも便利さがあるんですね。

 

ー つながりは、日常の延長線上にあった

 

鷲谷 人とのつながりのお話を伺ってもいいですか。転入してきて、地域で繋がりを作るのは不安でしたか?
藤東 私は子どもをちょうど妊娠出産した後に、赤ちゃん訪問という市の事業で、保健師さんが来てくれて、そのときに白河市ではこんな集まりがあるよっていうのを教えていただいたんです。そのなかで紹介された保健センターは、自宅から歩いて5~6分のところあったのですが、当時は私も運転が不慣れだったので助かりました。そして月1回通うようになったら、保健センターの保健師さんと仲良くなって、次は近くの体育館でやっているベビーマッサージを勧められました。そこに行ったら転勤族のママがいっぱいいたんです。なかなか働きづらいよねとか親が近くにいないから頼れないよねとか、おすすめの場所やお店の情報の交換など、転勤族のコミュニティがあって、楽しく過ごすことができました。
行く場所が増えてコミュニティが広がったのが、心のゆとりにもなったというか。独りぼっちではなく、たくさんの方と関われた経験は、いまも楽しく子育てを続けられているきっかけになっていると思います。
鷲谷 保健師さんの訪問があって、そのときにきっかけをくれて。そこからいろんな出会いがあって、情報をもらって安心感ももらえて。行ってみようという選択で変わっていくのかもしれませんね。
鈴木さんはどうやって繋がりを作りましたか?自分が小さい時に生まれ育ったとはいえ、子育てとなると付き合いが変わると思うのですか。
鈴木 私はずっと家で過ごせてしまうのですが、子どもにとっては良くないのかなと思ったので、赤ちゃん広場などの情報を検索して遊びに行きました。
何回も行くうちに、顔を覚えてもらったり一緒に遊んでもらったりしたのでとても安心して過ごすことができました。それと同時に、自分の気持ちもちょっと余裕が出てきたように感じます。
鷲谷 そのときの安心感は、施設スタッフとの関係性だったんですか?それとも、鈴木さんと同じように子連れのお母さんたちとの繋がりだったですか?
鈴木 どちらかというと、施設の方ですね。

 

 

鷲谷 今回のRipplesの事業でも、たんぽぽサロン※1おひさまひろば※1に託児などをお願いしていますが、お二人のことを、今も覚えてくださっていましたね。遊び場を卒業した子どもたちのことも、ずっと思ってくださるような優しい方が多くて、とても暖かい関係性ですよね。そういう方がいらっしゃると、新しい情報を得るきっかけになりますよね。
荒井さんはそういったところに行っていましたか。
※1 白河市が実施する子育て支援事業
荒井 利用していました。おひさまひろば以外にもマイタウン※24階にあるわんぱーく※3と白河市の総合運動公園内にあるアナビースポーツプラザ※4の一室の屋内遊技施設が好きでした。
※2 白河市中心市街地にある市の複合施設
※3 「木育と知育」をコンセプトとした屋内遊び場
※4 白河市総合運動公園内にある運動施設
鷲谷 そこで仲間ができたりしました?
荒井 私はできませんでした。(笑)
鷲谷 リアルでいいですね。(笑)
でもお子さんと外に出て、一緒に過ごすと良かったことはありましたか?
荒井 そうですね。いろいろなおもちゃもあるし、施設の方も声をかけてくださるし。
子ども自身も楽しいようで、帰りたくないってなるんですよね。絶対に。
あと入園前に、3歳児を対象にしたのびのび教室というのを白河市でやっていて、週1回通っていました。「幼稚園に慣れよう」みたいな内容で、粘土とか工作とか、運動を行いました。それは子どもにとっていい経験になったんじゃないかと思います。
鷲谷 それは地域問わず参加できるものですか?
荒井 これから幼稚園生活に不安のある子、人見知りとか緊張する子、逆に落ち着きがないとか、そういうことを心配しているお母さんに声をかけていたのかもしれません。
鷲谷 そこで仲間はできましたか?
荒井 そう!そこで「来年同じ幼稚園ですね」っていう出会いがあって。子ども同士も仲が良く、今でもいい関係が続いています。
鷲谷 こうしてお話を伺うと、保健師さんや施設の方が情報提供をしてくださっていたり、年齢のタイミングで繋がりをつくる機会とか、目に見える制度だけでなく、いろんなサポートがあるように感じますね。

 

動けない現実とRipples参加への想い

 

ー 働くことの難しさ

 

鷲谷 皆さんハッピーストーリーですけど、本当に困ったことはありませんでしたか?
荒井 私は、待機児童の経験ありました。働きたかったんですが、保育園に入れなくて。
※令和3年4月以降、白河市では待機児童は出ていませんが、希望の園に入園できない方や年度途中の入園が難しいことがあります。
鷲谷 仕事はいかがでしたか?
移住者に限らず、こちらで子育てしている方にとっても、子育てしながらお仕事しようと思ったときのハードルの高さはあるのかなと思うんですけど。
藤東 私は夫の転勤があるので、こちらに住める期間は、3年から5年ぐらいかなと思っていました。1人目を妊娠中でその後は子育てをする必要もあったので、正直働きたいとは考えませんでした。はじめての育児で、どんな生活になるのか想像もつかなかったというのもあります。
けれど、自分ひとりで子育てして、子どもと2人でずっと日中過ごしていると、このままでいいのかなっていう気持ちは沸々としていました。それでも、白河市で暮らすのは期間限定という気持ちが先行して、働いても会社に迷惑をかけてしまうかもしれないことや、保育園に預けたとしても子どもの体調不良時のお迎えなどを想定すると働くことはハードルが高いのかなって。その不安要素をカバーできる手段もありませんでした。あと、当時はコロナ禍の制限もあって家からほとんど出られず、遊び場にも行けないという生活だったので仕事も積極的にはじめるような雰囲気ではありませんでした。いまでは、無理をして働く選択をしなくて良かったと思う気持ちもあります。

 

ー 気軽にやってみようと思った

 

鷲谷 就労とはまた違いますが、皆さんには令和4年度にRipples※5に参加していただきました。その前の話や参加したきっかけのお話聞かせていただけますか?
※5 白河市が実施する女性のためのライフサポート事業の呼称
藤東 わたしはコロナ禍の制限が少しずつ緩和されていたときに、Ripplesの活動を知りました。積極的に参加しようという感じではなくて、これに参加したら、ひとつ自分の中のモヤモヤが解消されるんじゃないかなという思いでした。あと子連れOKと書いてあったので、自分もいってもいいんじゃないかなって思って参加しました。
鷲谷 情報は何で知ったんですか?
藤東 それこそ遊び場のたんぽぽサロンですね。そこのスタッフさんから、これ行ってみたらという感じでチラシを渡されました。夫に相談したところ、「参加してダメならまた考えればいいんじゃない?子連れで行って仕事になるなんて正直わからないし、参加してみたい気持ちを解消できるんじゃない?」と背中を押してもらいました。
鷲谷 いろんな不安があったのに、それでも行ってみたいって思えたのは、なにか藤東さんの中に、少し気持ちの変化があったからですか?
藤東 そうですね。子連れOKと書いてあったのが、やはり大きかったです。託児もできるとも書いてありましたし。最悪、泣いたら帰ればいいかという気軽な気持ちで参加しました。
鷲谷 子連れOKというのが大きかったんですね。
では、鈴木さんのきっかけを教えてください。
鈴木 私も子どもが未就学児のうちは、働かないで家でみたいとは思っていて、夫にも了解を得ていました。
でも、実際、子育てがはじまって、ずっと家に一緒にいると果たしてこのままでいいのかと。今後のためにお金も必要だし、私自身も子ども抜きにして何かできることがあればいいなと思うようになりました。
鷲谷 お子さんの成長と合わせて、気持ちの変化があったということですね。
鈴木 そうですね。ちょっとずつ成長して、子どももひとりで遊べるようになったりしていたので。ちょうどそのタイミングで白河市のRipplesという事業があるということを知ったんです。
鷲谷 なるほど。それで2人とも参加してくださったんですね。2人は、すごくお子さん小さくて参加してくれたという印象でした。
荒井さんの場合は、もうちょっとお子さんは大きかったですけど、どんなきっかけや思いで参加してくださいましたか?
荒井 上の子が幼稚園に入ったタイミングで、そろそろ働きたいなと思っていました。求人票を見たりして、いろいろ面接も受けていました。ただ、短時間勤務を希望していたので、面接のときに午前中だけの勤務にしてもらえないかと要望を伝えましたがことごとく落ちてしまって。
そんなときに、偶然テレビで2hours※6を知りました。ただ活動の拠点が郡山市だったので諦めていました。その後白河市のホームページで鷲谷さんの講演があることを知って、ぜひ一度お話聞いてみたいと思って参加したのがきっかけです。
※6 鷲谷さんが代表を務める、1日2時間から働くことができる会社
鷲谷 荒井さんは、お子さんが幼稚園に入るタイミングで就職活動されんですね。条件のところはやはり一番大変でしたか?
荒井 はい。短時間の勤務の求人は全くなかったように思います。
鷲谷 職種はかなり限定していらっしゃいましたか。
荒井 そうですね。前職が工場の事務だったので、事務系に絞って探していました。
鷲谷 なかなか難しかったんですね。それで保育園も入れないという。子連れ出勤も一般的ではないですしね。そうすると、なかなか働けないなぁと思っていた時期だったってことですね。
そういう思いで皆さん申し込みをしてくださったのですね。
実際に藤東さんはお子さんを抱っこされての参加でしたがいかがでしたか?
藤東 1歳未満だったので、託児は利用せず子連れで参加しました。泣いたらどうしようとか、場違いだったらどうしようとか緊張していました。イベントでは、赤ちゃんを抱っこして参加しているのは私ひとりだったんですが、運営スタッフの方が親切に声をかけてくださって、帰り際にも温かい言葉をかけてくださったので、「ああ来て良かったんだ」と気持ちが楽になりました。
鷲谷 鈴木さんはいかがでしたか?
鈴木 私は託児を利用したのですが、いままで子どもを預けた経験がなかったので心配でした。人見知りもあるので、泣いたりしたら困るなと思っていたんですけど、迎えに行ったら、スタッフの方と楽しそうに遊んでいて、私の心配しすぎだったのかなと、安心しました。
鷲谷 そうでしたか。お子さんの成長も感じられましたんですね。
荒井さんはいかがでしたか?
荒井 私はイベント前の数日、体調があまりよくなかったんです。コロナも流行っていた時期だったし、参加を迷っていました。でも、当日は熱もなく状態もよくなってきていたので参加することができました。今に繋がっているので、参加してよかったと感じています。

 

ー 「私」を真ん中にした関係性

 

鷲谷 Ripplesは就労体験(子育て世帯向けの雑誌を作成)と同時に仲間づくりもできたらと思っていました。皆さんは「働く」ということをひとつのキーワードで持ちながら、普段のママ友とは違うとてもいい関係を作れているように感じています。Ripplesでのみんなの関係性はどうですか?
藤東 偶然、みんな同じ幼稚園だったんです。子どもの年齢がみんな違っているので、入学時期は違いましたが、送迎の時にすれ違って挨拶する程度には知っていました。Ripplesではじめてちゃんとお話することができて、心強かったし、嬉しかったです。
鷲谷 そうだったんですね、会話も共通する部分が多そうですね。
Ripplesでは、お子さんを通じた関係性ではなくて、ご自身が真ん中にあって作られた関係性なのかなと思うんですけど、関係性にママ友とは違うような意識はありますか?
藤東 私はママ友とは違うと感じています。子どもからはじまった関係性ではないので。
ただ、友だちとも違うし、会社内での付き合いとも違う。お互い年齢も違う。同じ目標をもって共同で作業してきて、何というか特別な感じですね。
鈴木 仕事の仲間ではあるけれど、普段の悩みや子どもの事も話せる仲間。心強いです。
鷲谷 お子さんを介するのとは、感覚としてちょっと違いますか?
鈴木 ママ友だと子どもありきというか、子どもが話題の中心になりますよね。それとは違って、私自身として関わっていけています。
藤東 娘とか幼稚園の話題だけじゃなく、自分の趣味や好きなことを話せることが楽しいです。
鷲谷 なるほど。会話の内容が広いイメージでしょうか。お子さんの話も当然できるし、それだけじゃないような。
荒井 子どもを介してではなく、自分自身で繋がっている感覚は共感します。私たち、ひとつの目標に向かってがんばりましたよね(笑)。だから仲間というか同士というか。ありがたい存在です。
鷲谷 同じ経験ができたことは大きかったのかもしれませんね。お子さんがどれだけ大きくなっても、ずっと繋がっていきますし、ご自身が繋がっていますからね。
鷲谷 コミュニティと言っても繋がり方って、本当にそれぞれで、お子さんを真ん中にした繋がりというのも、育児の情報やその不安解消という意味でとても大事。一方で「私」を真ん中にした繋がりっていうのもあると、自分自身が将来に向けてどうしていきたいかも含めて話せるという心強さはありますよね。
Ripplesはそういったつながる場を醸成できたのかもしれませんね。苦労も一緒に乗り越えることができたという経験を共有できて、一体感を持てた。お話を伺って、私もとても励みになります。
今年度も白河市では、女性の就労支援事業がはじまっています。参加するきっかけも皆さんそれぞれで、お子さんがいらっしゃらない方もいますし、年齢も幅広いです。3人のお話を聞いて、参加者が、皆さんと同じような関係性を構築してもらえたらうれしいです。

 

それぞれの個性に合わせて、心地よい居場所

 

ー 子育て世代におすすめしたい白河のコミュニティ

 

鷲谷 次は地域のコミュニティの話に移りたいと思います。白河市でおすすめのコミュニティはありますか?ご自身が参加したものでもいいですし、情報としてでも伺えたらと思います。
荒井 白河市のスポーツスマイリークラブ※6はおすすめです。いろいろなプログラムがあって、赤ちゃんから大人まで参加できます。親子で一緒に体験できるものや、小学生以上だと子どもだけで参加できるものも。我が家はそこでミニバスケをやっています。大人のヨガもあったりして。そして月々のお値段がとってもお手頃なのが嬉しいです。
※6 生まれたてのお子さんからシニア世帯を対象としたスポーツ教室
藤東 私もスポーツスマイリークラブに行ったことあります。そこで転勤族の繋がりを作れて、今でも仲良くさせてもらっています。終わったら外の公園でも遊べるし、雨が降っていたら屋内の遊戯施設で遊ぶこともできます。
鈴木 娘は運動とかアクティブなのは怖がるので、そういったコミュニティに参加するのは慎重になっちゃうんですよね。
なので、私はよくたんぽぽサロンに行っていました。滑り台もあってちょっと運動できるし、お絵かきやシール貼りにパズル、絵本もたくさんあります。ゆっくり自分のペースで遊べるところがお気に入りです。おひさまひろばわんぱーくがあるマイタウンにもお世話になりました。
鷲谷 なるほど。集団で同じことやる楽しさはあるけれど、そのペースについていくのが怖かったりする子にとっては、本人の気持ちに寄り添ってくれるような安心していられる場所もあるんですね。
そういえば、図書館には読み聞かせもありますよね。
藤東 読み聞かせの時間は15分くらいですが、親じゃない誰かが読んでくれる時間って、すごくいいなと思います。手遊びなどのプログラムもやっています。白河市の図書館って本当に充実していますよ。子ども向けの映画鑑賞会もあるし。映画館に行くのはまだハードルが高いけど、映画鑑賞会はお金がかからないし、出入りも自由だし、騒いでもお互い様みたいな感じです。子どもに映画館デビューさせるにはちょうど良くて、友人と一緒に行っていました。
鷲谷 お子さんの個性もそれぞれありますしね。それに合わせたいろんな楽しさが、白河市にはあるんですね。

 

経験から実感した、行動してみるということ

 

ー 一歩踏み出せない友達へ、私が伝えたいこと

 

鷲谷 最後にお聞きしたいのですが、転入してきて子育て中で地域にまだ馴染みがなく、このままでいいのかと思いつつも、何から始めていいかわからない、勇気が出ないみたいな友だちがいたとします。そんな友だちに何と言ってあげたいですか?
藤東 誰かしらは救い上げてくれる。一歩踏み出せば、たんぽぽサロンおひさまひろばわんぱーくのスタッフさんもそうだし、絶対どこかに繋がれるようなパイプを持っている。一歩勇気を出せば、何かに繋がるとは思うので、ぜひ行動してほしいと言いたいです。
鷲谷 情報を見つけて気になると思ったら、まずちょっと行ってみる。そこで何かしら、救い上げてくれる人とのの出会いがあるということですね。
藤東 そういえば、おひさまひろばさんでmama’p(ままっぷ)※7というサークルの運営をされている方がいて、市外に転出した今でも良くしてくださるんです。遊びに行くと本当に喜んでくださって。いま私は白河市を離れていますが、白河の方は気にかけてくれる気持ちを持っています。優しい気持ちとか温かい気持ち。だから、怖がらないで、一歩踏み出してほしいなと思います。
※7 子育て支援サークル
鷲谷 実際にいろいろつながりを広げてきた藤東さんならではの説得力ですね。鈴木さんも共感するところはありますか。
鈴木 参加する前とか一歩踏み出す前というのは、やはりいろいろ考えてしまいますよね。だから、いろいろ悩んで踏み出せない気持ちはとても分かります。「案ずるより産むが易し」じゃないですけど、産んでからも苦労はあるので(笑)。でも踏み出したからこそ分かることもたくさんあると思います。私もそうでした。あのときこうすれば良かったと後悔するよりは、やってみてダメだったとしても、一歩踏み出せたことが自分のプラスになるのかなと思います。
鷲谷 鈴木さんもそういう思いでたくさん考えて、なかなか勇気が出なかったということですね。思い切ってスタートしてみた実感がとてもよく伝わります。
鈴木 はい、踏み出せてよかったなと私は思っています。
鷲谷 先に一歩踏み出した経験のある先輩が、自分はこうだったよ、もしかしたら一歩踏み出すと変わるかもしれないねって言ってくれるのは、とても力になりますよね。荒井さんはいかがですか。
荒井 私も結構人見知りなので、最初は不安とか迷いとか最初の一歩を踏み出すための勇気が本当に必要でした。でもそこにチャレンジすれば、何かしらのつながりが広がるかもしれない。それでダメだったら、諦めちゃえばいい。そういう決断も大事だと思います。
とりあえず1回チャレンジ!ぜひ挑戦してほしいですね。
鷲谷 やはり、みんな不安はありますよね。それでも一歩踏み出したというところが大きかったのかもしれないですね。 皆さん、素敵なメッセージありがとうございました!

 

ー 自分のドアが開く感覚

 

鷲谷 今年度の女性に寄り添うライフ・ワークサポート事業では、次回バスツアーを予定しています。
今すぐではなくてもいずれかは働きたい思いはあるけど、どんな仕事が地域にあるのかを知らない方は多くいるのかなと思っています。バスツアーでは、ひとつの決まった業者よりも農業・介護福祉・交通・製造のいろいろな企業を回って、働くことの可能性を探りたいと思っています。小さいお子さんがいるとか、何かしら長く働くことにハードルがある方たちがつながれるようなイベントとなる予定です。今のお立場から、荒井さんはどう感じますか?
荒井 参加したいと思います!業種がたくさんあるから、参加しやすいですよね。
藤東 最初から自分には無理だと思っていることもあるじゃないですか。私は製造の経験はないし、とか。でも実際に行って知ることで、こんな感じかなとひとつ自分のドアを開けるかもしれないですよね。
鷲谷 事務しか経験ないから事務の仕事だけ探してしまいがちだけど、実は違うところに可能性があったりもしますよね。バスツアーのあとにはマッチングイベントもあります。どちらも、女性が働くことに対して理解があり、働きやすさに配慮してくださる企業に集まっていただきました。
まずは、バスツアーに参加していただき、働くこともそうですが、いろいろな方と交流を楽しんでもらえればうれしいです。
本日は貴重なお話をしていただきましてありがとうございました!

 

 


鷲谷 恭子㈱ケイリーパートナーズ代表取締役/COO。令和4・5年度の白河市「女性に寄り添うライフ・ワークサポート事業」に協力事業者として参画。本年度は代表事業者として運営に携わる。

藤東 恭子:会津若松市出身。結婚を機に福島市へ移住。その後、夫の転勤で白河へ引っ越し、2人のお子さんの妊娠・出産を経験。現在は郡山市在住。

鈴木 絢乃:白河市出身。郡山市と白河市で介護関係や事務職を経験。現在4歳のお子さんを持つ。

荒井 由美:塙町出身。結婚を機に白河市へ移住。デスクワーク・事務職を経験。現在8歳と6歳のお子さんを持つ。


県南地方振興局では、次年度以降も移住者が地域に溶け込めるような事業を予定しています。
移住者や転入者にとって、少しでもふくしまでの暮らしが楽しくなるような企画の立案や取材などにご協力いただける方を募集しています。

もし、ご興味ありましたら下記のURLからご連絡ください。
https://www.task-asp.net/cu/eg/lar070009.task?app=202400008