—でんぱたについて
もともと矢祭町農協で農産物の販売を担っていましたが、2001年に周辺の農協が合併し『JA東西しらかわ』が発足したのを機に農協を退職。同年4月に『農業法人でんぱた』を立ち上げました。
2004年の改正食糧法が施行されたことで、お米の農家が自分たちで直接販売できる時代になりました。県内の生協や地元のスーパーへ足を運んで自分たちのお米を直接売り歩いたり、都心でのイベントやホームページで情報発信をしたりと、流通経路を広げるために試行錯誤の日々でしたが、少しずつ認知されて、県外のイベントにも声がかかるようになりました。
震災を経て現在は、首都圏だけでなく海外へもお米を届けることが出来ています。これからも『作る農業』ではなく『売る農業』を支えていきたいと思っています。
—学生の受け入れ
でんぱたで開催している『やまつーりずむ』に、9年前に目白大学の教授夫妻が参加されたのがきっかけです。「学生にもぜひ体験させたい」と思ってくれたそうで、2013年から『農業体験研修』として受け入れるようになりました。
農産物の収穫から加工までを体験し、町内の施設で寝泊まりをする。我々から何かを提供するのではなく、自分たちで課題を考え、実行し、夜はゆっくり休む、という農家の生活そのものを体験します。
今年度からは神奈川県の横浜総合高校も農業体験をしに来てくれています。彼らも、ブルーベリーの収穫や加工などを体験し、自分たちの文化祭で販売するのを目標に頑張っていました。
今の子どもたちは農業に対しての偏見がない。農機具や作業すべてに興味を持って、楽しみながら取り組んでいる様子が印象的です。
また、学生を受け入れるだけでなく、私たちも目白大学の学園祭で矢祭産の野菜やお米を販売し、相互に交流をとっています。
—学生とのエピソード
研修が終わっても連絡をくれたり、学園祭や都内でのイベントに顔を出してくれたりすると嬉しい。自分が行かないイベントでも「○○くんが鈴木さんに会いたがってましたよ」と仲間から言われると、本当に可愛いなぁ、と思います。
—若者へメッセージ
矢祭町は関東と隣接していて、気質的には東北人のいいところと関東人のいいところを持ち合わせていると思っています。交通機関では来づらいけど、馴染みやすい環境なんじゃないかと思います。
現代の農業は『作る』だけでなく『販売』『レストラン』『民泊』など多種多様。取り組む人の考え次第でとても楽しめるものになると思います。
チャンスが沢山ある時代。ぜひ若い人の気合と行動で、農業の喜びを感じてほしいです。