【レポート】地域おこし協力隊の学校

地域おこし協力隊という制度は地方へ移住するひとつの方法だと思います。
実は、東北で最も地域おこし協力隊が活動している都道府県は福島県です。

制度がはじまった2011年から県内で活動する地域おこし協力隊が増えて、現在では200名を超える現役の隊員が活躍しています。

この秋から福島県県南地方では、地域おこし協力隊が活動を円滑に進めることができ、地域に定着できるように「地域おこし協力隊の学校」という支援事業が行われています。

多くの方は地域おこしにはじめて取り組むことになるかと思います。
これまでに福島県の地域おこし協力隊が積み重ねてきた経験を共有することで、定住や活動に対する不安を解消できるかもしれません。

10月に開催された「地域おこし協力隊の学校」のイベントレポートをお伝えします。

白河市の東地区にあるきつねうち温泉。
その敷地の一角にコミュニティスペース「温室」で「地域おこし協力隊の学校」が行われました。

「同じフットワークの軽さの友だちがほしい」、「地域住民との交流する場づくりに詳しい人とつながりたい」、「東北の人って人見知りが多い気がする」、「任期後の収入が不安」、「地域住民の地域おこし協力隊の認知度が高くない」。

地域で活動して感じた、自分の課題や不安なことを付箋に書き出します。
同じ境遇にいるからこそ共通することもあり、話も弾むようです。

不安や課題を書き出した後、アドバイスできるひとが新たに付箋を貼っていきます。

「東北の人は仲良くなるのに時間はかかるけど、仲良くなったらとても協力してくれた」
「ネット上のコミュニティはいろいろあって勉強になることもあるよ」
「地域のひとに知ってもらうような働きかけはできそう」

掲示物を見ながらの雑談もいろいろな情報交換につながっているようです。

「それは○○さんに聞いてみたほうがいいかも」
「矢祭町に製材所があって相談してみてもいいと思うよ」

それぞれの不安をどのように解決していったかは人によって様々でしたが、それらを知ることができるのは新しく着任した地域おこし協力隊にとって有意義なことかもしれません。

「積極性が求められる地域おこし協力隊ですが、新型コロナ禍になってから、人と接することが難しくなりました。」

今回のイベントを考えたひとり、矢吹町地域おこし協力隊の飯塚さんは言います。

飯塚さんは今年任期３年目を迎え、新型コロナの流行前に矢吹町の地域おこし協力隊として着任しました。現在は矢吹町の空き店舗の活用や、自然体験プログラムなど様々な活動を行っています。

「これまでは気軽にいろいろなひとに出会いに行けて、同じような活動を行う地域おこし協力隊とも出会えていたけど、コロナ禍になってからなかなかそうはいかない。オンラインで開催する研修もあったけど、一方的に受講する感じになっちゃって、実際に顔を合わせることでいろいろな話をすることは今後につながると思ったんです」

「自分が地域おこし協力隊になったときは、右も左もわからない状態でした。いろいろと考えさせられる時期もありましたし。しかし、町の人や近隣の地域おこし協力隊に支えられたことで、いま充実した取り組みができています。外部から来た地域おこし協力隊は地域に相談できる相手や地域に友だちが多くないので、同じ地域おこし協力隊同士が話し合える機会があったほうがいいと思い、つくろうと思いました。」

白河市の地域おこし協力隊として活動する久野さんにも話を伺いました。

「担当する市町村って結構小さくて、その境界線を引いて活動するのって行政職員くらいだと感じました。住民と話してみると、普通に隣の町に買い物に行ったりしていますし。地域おこし協力隊としても、担当する地域だけじゃなくて、すこしエリアを広げて行動し、お互いに足りないところを補い合うことで、担当する地域の魅力がわかっていく。ひとつの地域が盛り上がるのではなくて、県南地域が連携して盛り上がっていくことが必要なんじゃないかなと感じるようになったんです。」

「近くの地域に地域おこし協力隊がいるので、お互いの活動を知り、交流することでそれぞれの地域おこし協力隊の成長につながる。地域おこし協力隊という仲間として、お互いによりよい地域にしていきたいですね」

地域おこし協力隊になることに、不安を感じる方も多いと思います。
移住前にすべての不安を払しょくすることは難しいですが、同じ不安を抱えながらも活動する仲間と共に活動してみませんか。

地域おこし協力隊の募集サイトはこちら。

＜地域おこし協力隊・復興支援員　募集・情報サイト＞

ふくしまの担い手―地域の担い手―